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福應寺毘沙門堂奉納養蚕信仰絵馬
概要
ふくおうじびしゃもんどうほうのうようさんしんこうえま
福應寺毘沙門堂に奉納された絵馬の名称。通称「ムカデ絵馬」。
角田は明治期をピークに養蚕が盛んな地域であったが、ネズミに蚕が食べられる被害が多くあった。
ネズミはムカデを嫌うとされ、ムカデは毘沙門天の使いとされていたことから、絵馬にムカデを描いて奉納する信仰があり、毘沙門堂には奉納された23,477点の絵馬が残っている。
毘沙門天信仰と結びついた養蚕信仰としては全国的に類例の少ないものであるとして、宮城県初となる国指定重要有形民俗文化財に指定された。
住所
宮城県角田市鳩原字寺44
電話
0224-69-2029
Fax
0224-69-2029
URL
詳細情報
一番古いもので明和5年(1768年)のものが残っており、文字や絵がはっきりと読めるほど保存状態の良い絵馬がこれだけ大量に残っているということ自体とても貴重な例である。絵馬は毘沙門堂の床下に放り込まれるように奉納された為、通常の絵馬のように紐を通す穴が空いていない。
大きさは一般的に「小絵馬」と呼ばれる縦横の長さがともに30cm以下のものがほとんどであるが、中には大型のものや、正方形のものもある。
絵柄はムカデだけを描いたもの、ムカデに追われて退散していくネズミを描いたもの、毘沙門堂の祭を描いたものなどの他、「百足」と文字だけ書いたものなど多様にある。
養蚕農家が奉納された絵馬をお堂から1枚借りて家に飾り、1~2年後に借りた絵馬と新しい絵馬、計2枚を奉納するのが習わしであったうえに、普通は燃やしてしまう絵馬を燃やさずにとっておいたため、大量に残ったとされる。
絵馬によって出来・不出来があり、全く同じデザインの絵馬が複数発見されていることから、専門の絵描きが丁寧に着色・制作し販売していたもの、また反対に素人が端材を使って墨で一気に描いたと思われるものも存在する。絵馬のデザインによりそれぞれの作者の様々な思いが感じられるのも魅力だ。
震災後は保管場所を福應寺から他所へ移していたが、2019年からは新設された収蔵展示施設「むかでの絵馬館」(福應寺敷地内)にて、常時約300枚程が展示されている。
- 観覧料/300円 ※事前に電話で確認のうえ、見学される事をおすすめします。
- アクセス/角田駅から車で30分
- 駐車場/あり