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アルコールと健康~お酒との上手な付き合い方~
アルコールと健康
「酒は百薬の長」という言葉があるように、アルコールは適量であれば、心身の緊張がやわらぎ、ストレス解消につながる、楽しい気持ちにさせてくれるなどのメリットがあります。
しかし、過度な飲酒は記憶力・判断力の低下や二日酔いなどのデメリットがあります。
長期にわたる過度の飲酒は、脂肪肝や肝硬変などの肝臓障害、糖尿病や脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病のほか、アルコール依存症や睡眠障害やうつ病などさまざまな病気につながるリスクがあります。お酒を飲む量や頻度に気をつけてお酒と上手に付き合っていきましょう。定期検診を受診し自分の健康状態を把握することも大切です。
適切な飲酒量
飲酒量の目安となるのは、飲んだ酒の量ではなく、酒の中に含まれている「純アルコール量」です。厚生労働省では生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を、女性では20g以上、男性では40g以上としています。
日本酒の場合、日本酒1合(180ml)に含まれるアルコール量が20~22g程度なので、男性は1日2合未満、女性は1日に1合未満までにしましょう。同じ量でもお酒の種類によって含まれる純アルコールの量は異なります。そのためお酒に含まれる純アルコール量(g)を認識し、自身のアルコール摂取量を把握することが大切です。また、チューハイなどの甘いお酒には糖分が多く含まれている場合があります。生活習慣病の予防のために、お酒に含まれる純アルコールの量だけでなくカロリーや糖分にも注意しましょう。
■純アルコールの計算方法
純アルコール(g)= お酒の量(ml) × アルコール度数/100 × 0.8(アルコールの比重)

■アルコールウォッチ
アルコールウォッチは、純アルコール量と分解時間をはかり飲酒を見守るツールです。飲酒したお酒の種類と量を選択すると、分解時間を確認することができます。
◆注意◆
飲酒による影響には個人差があり、年齢・性別・体質等の違いによって、それぞれ受ける影響が異なります。自分に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けましょう。特に20歳未満の者、高齢者、女性は下記のような理由から注意が必要です。
<20歳未満の者 >※20歳未満は法律で飲酒が禁じられています!!※
成長段階にある20歳未満の者はアルコールを分解する酵素の働きも未完成なため、大人に比べて飲酒すると短期間で様々な臓器の障害を起こす危険性が高まります。
<高齢者>
一般に高齢になるほど、若い世代よりアルコールの分解速度が下がるため少量のアルコールでも血中アルコール濃度が上昇しやすくなり、酔いやすくなります。若いときと同じように飲むのではなく、飲酒量を減らすようにしましょう。
<女性>
女性は男性に比べてアルコールの分解速度が遅く、体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、飲酒による臓器障害を起こしやすいと言われています。
◆妊娠中の女性がお酒を飲むと、胎盤を通じてアルコールが赤ちゃんの体内に直接入ってしまいます。その結果、生まれてくる赤ちゃんに、知能の障害、精神発達の遅れ、低身長や低体重といった発育障害、顔面の形成不全などの「胎児性アルコール症候群」が出る危険性があります。妊娠中はお酒を飲まないようにしましょう。
◆授乳期も、母乳で育てる場合は、母乳を通じて乳児にアルコールが届きますので、授乳が終わるまではお酒を飲まないようにしましょう。
気をつけたいお酒の飲み方
下記のようなお酒の飲み方は、アルコールの分解が妨げられる、血中アルコール濃度が急激に上昇するなどの理由から、健康被害につながるリスクがあります。お酒の量だけでなく、飲むタイミングや飲み方にも気をつけましょう。また、週に2日は休肝日(飲酒しない日)を設けるようにし、飲酒の頻度にも注意しましょう。アルコールの利尿作用や、アルコールを分解する際に水が必要になるため、飲酒時は脱水状態になりやすいです。脱水状態や飲みすぎを防ぐためにも、飲酒時には水も一緒に適量飲むことが大切です。
●一気飲み
急性アルコール中毒を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります。飲み会などで心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むアルコールハラスメントに注意しましょう。
●空腹時の飲酒
胃の中に食べ物が何もないためにアルコールの吸収が速くなり、酔いがまわるのが早くなってしまいます。食事といっしょにゆっくりとお酒を楽しみましょう。
●入浴前や運動前の飲酒
飲酒中、飲酒直後の入浴は、身体に大きな負担がかかります。 血液の流れが乱れて気分が悪くなり、脳貧血や心臓発作の危険も高まります。
●睡眠前の飲酒
一般的に「寝酒」と呼ばれていますが、アルコールは睡眠の質も量も低下させます。毎晩続けると、アルコールを飲まないと眠れない状態に陥る危険もありますので注意が必要です。